日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナレージヌイ」の意味・わかりやすい解説
ナレージヌイ
なれーじぬい
Василий Трофимович Нарежный/Vasiliy Trofimovich Narezhnïy
(1780―1825)
ロシアの小説家。ウクライナの生まれ。ペテルブルグでの官吏生活のかたわら、ロシアの現実の社会悪を辛辣(しんらつ)に描き出したピカレスク(悪漢)小説『ロシアのジル・ブラース』(1814)、教育小説『アリスチオン』(1822)、ウクライナの風俗に題材をとった小説『神学生』(1824)、『二人のイワン、あるいは訴訟狂い』(1825)を世に問うた。生前はあまり知られず、死後も久しく忘れられていたが、ゴンチャロフにより再評価された。18世紀後半ロシアの啓蒙(けいもう)主義の散文文学の流れをくみ、ゴーゴリの先駆者とみなされている。
[佐々木寛]