太守(読み)タイシュ

デジタル大辞泉 「太守」の意味・読み・例文・類語

たい‐しゅ【太守】

平安時代以後、親王任国と定められていた上総かずさ常陸ひたち上野こうずけの3か国のかみの称。
一般に、幕府高官領主のこと。江戸時代には、国持大名の俗称。
古代中国の郡の長官代に創設された郡守代に改称したもの。のち州制の施行によって刺史と改められ、代以後は知事雅称となった。

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精選版 日本国語大辞典 「太守」の意味・読み・例文・類語

たい‐しゅ【太守・大守】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国古代の郡の長官。漢代に創設、のち州制の施行によって刺史と改称。宋代以後は知事の雅称となった。
    1. [初出の実例]「太守追集州内僧尼道士女官州県官人百姓、香華音楽来迎、請停、三日供養」(出典:観智院本唐大和上東征伝(779))
    2. [その他の文献]〔史記‐李将軍伝〕
  3. 平安時代以来、親王の任国と定められていた上総(千葉県)・常陸(茨城県)・上野(群馬県)の三つの国の守(かみ)の称。ただし、親王は遙任(ようにん)で、介(すけ)執務を代行した。中世、後醍醐天皇の時、陸奥国(青森県・岩手県)をも親王の任国とした。
    1. [初出の実例]「宜改定正四位下官、以為勅任、号称太守」(出典:類聚三代格‐五・天長三年(826)九月六日)
  4. 一般に幕府の高官・領主の意。江戸時代には一国以上を領有した国主大名のこと。
    1. [初出の実例]「太守御愛物〈常葉前〉今暁〈寅剋〉御産」(出典:金沢文庫古文書‐(正中二年)(1325)一一月二二日・金沢貞顕書状(一・三六八))
    2. 「稚(おさな)けれども天然に大守の心備(そな)はりて」(出典:浄瑠璃伽羅先代萩(1785)六)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太守」の意味・わかりやすい解説

太守
たいしゅ

」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の太守の言及

【国司】より


[変質]
 この国司制は平安時代に入ったころから,中央集権的支配の弛緩に伴って,しだいに変質していった。そのおもな原因の一つは国司の給与の増大で,奈良時代からもっぱら収入を目的とする員外国司,権任国司など,定員外の国司の任命が始まり,また平安時代に入って826年(天長3)に上総,常陸,上野を親王任国とし,その国守の親王を太守と呼び,太守は京にいてただ俸料のみを受けることにしてから,いわゆる遥任の例が生じた。この遥任の風は,その後各種の京官が収入を目当てに国守を兼帯することによってますます盛んとなったが,その場合には国守は腹心の者を目代(もくだい)として任国に派遣し,介以下の在庁官人によって構成される留守所(るすどころ)を指揮させることが行われた。…

※「太守」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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