日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニベルネ」の意味・わかりやすい解説
ニベルネ
にべるね
Nivernais
フランスの歴史的地方名、旧州名。フランス中部ブルゴーニュ地方にあるニエーブル県の範囲にほぼ一致する。中心都市はヌベール。モルバン山地とロアール川流域の中間にあり、ボカージュbocage(農牧地を取り囲む帯状の樹林)を伴うバゾア平野を含む。農業と牧畜業が盛んで、森林に覆われたニベルネ台地は最高点452メートルの平坦(へいたん)な起伏である。ロアール河谷に広がる沖積地の上流部は果樹栽培と牧草栽培が卓越し、下流部にはブドウ園が広がる。北部のクラメシーと西部のプレメリー周辺の森林から供給される材木によって、古くから木材工業が発達する。かつてはウシの牧畜が盛んであった。この地方を流れるニベルネ運河はヨンヌ川とロアール川を結ぶもので、全長174キロメートル、1785~1842年に建設された。物資の輸送路としては利用価値は少ないが、観光用の水路として活用されている。
ブルゴーニュ王国の一部であったが、6世紀初めからヌベール司教区に入り、9世紀末には伯爵領となった。12世紀にクルトネーのピエール2世領となり、以後何度も支配者が交替したが、ルイ14世時代の1669年フランス王国に併合され、フランス革命(1789)まで一州を構成した。
[高橋伸夫]