改訂新版 世界大百科事典 「ニューズブック」の意味・わかりやすい解説
ニューズブック
newsbook
定期的に公刊されたニュース報道の小冊子で,新聞の先駆形態をなす。〈ニューズ・シートnews-sheet〉ともいう。1620年代,ヨーロッパの〈ニュース集散地〉であったアムステルダムで新聞に類似した多くのニュース媒体(コラントスcorantos)が出され,イギリスにも流入していた。1621年アーチャーThomas Archerが,このオランダのニュース媒体を翻訳して出版したのが最初とされる。しかしこのためにアーチャーは投獄され,現物も残っていない。同年9月に〈N.B.〉なる男がこの翻訳新聞刊行・販売の公認をもらって仕事を始め,22年に規模を拡張,ほぼ週2回,8~24ページのセミ・パンフレットの形で国外ニュース(国内ニュースは厳禁された)集録を刊行した。32年,この国外ニュース翻訳新聞も禁止されたが,38年には星室裁判所の事前検閲など制限つきで復活,自由に新聞が発行できるようになるピューリタン革命まで続いた。公認をもらった〈N.B.〉は,ロンドンで本屋と出版を営んでいたバターNathaniel Butterと思われるが,同業のボーンNicholas Bourneとの説もある。
執筆者:香内 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報