ニュー・ナショナリズム(読み)にゅーなしょなりずむ(その他表記)New Nationalism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニュー・ナショナリズム」の意味・わかりやすい解説

ニュー・ナショナリズム
にゅーなしょなりずむ
New Nationalism

1912年のアメリカ大統領選挙において、革新党大統領候補T・ルーズベルト(前共和党大統領)が掲げた政治スローガン。彼がこのスローガンを初めて発表したのは、1910年夏、カンザス州での遊説途上であった。ここで彼は、連邦政府の権力拡大、とくに大統領の権限拡大を通して、アメリカ政治の活性化を図る必要を説いた。その主張は、19世紀の自由放任主義的国家思想と異なる、20世紀における積極的な政府の必要を説くものであった。このスローガンの下、ルーズベルトは12年、大企業のより厳格な政府規制、労働者の労働条件の改善、天然資源の保存などを主張して大統領選挙を戦ったが、民主党ウィルソンニュー・フリーダムに敗れた。

[紀平英作]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のニュー・ナショナリズムの言及

【プログレッシビズム】より

…しかし,独占巨大企業をすべて害悪視したわけではなく,むしろ企業の組織化を近代社会の進化の合理的・効率的な産物として肯定しており,〈悪いトラスト〉に対してのみ国家が規制に当たり,公共の利益を守るのがよいと考えていた。ローズベルトのこの信条は〈ニューナショナリズム〉というスローガンで表現されている。彼はまた,アメリカの豊かな自然と資源が私益の犠牲となって破壊されているのを憂え,天然資源保護政策にも力を入れた。…

※「ニュー・ナショナリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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