改訂新版 世界大百科事典 「ネッセバル」の意味・わかりやすい解説
ネッセバル
Nesebǎr
ブルガリアの黒海沿岸の都市。人口約2500。古代都市メセンブリアMesembriaにはじまり,中世にはブルガリア帝国およびビザンティン帝国の軍事,交易の要衝として栄えた。重要な教会堂の遺構が多く,最も早期のものに,5世紀のバシリカ式のミトロポリヤ(府主教座)教会がある。折衷様式の例ではスベーティ・イワン(10~11世紀),ギリシア十字式ではスベーティ・ステファン(12世紀),スベーティ・イワン・ネオスベテーニ(アリトゥルギトス,12~13世紀)とパントクラトール(12~13世紀)などの諸教会がある。いずれも10世紀ブルガリア帝国の支配地域に現れた,外壁の複雑な煉瓦組みや彩色陶片による装飾に共通の特色がみられる。
執筆者:高橋 榮一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報