ノコギリカミキリ(読み)のこぎりかみきり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノコギリカミキリ」の意味・わかりやすい解説

ノコギリカミキリ
のこぎりかみきり / 鋸天牛
[学] Prionus insularis

昆虫綱甲虫目カミキリムシ科に属する昆虫。日本各地のほか朝鮮半島、中国北部、東シベリア東部に分布する。体長23~48ミリメートル。黒褐色で、頭は前に突き出し、前胸は幅広く、両側が平たくて前角と中央がとがって突出する。触角は12節、とくに雄では強く鋸状。マツスギなど針葉樹枯れ木や倒木に多くみられ、幼虫は種々の枯れ木の根を食害する。成虫は捕まえると上ばねの縁と後脚をこすり合わせて発音する。近似種のニセノコギリカミキリP. sejunctusは触角がやや短く、雌では11節、脛節(けいせつ)上面に溝がない。

 ノコギリカミキリ亜科Prioninaeは、前胸両側が稜(りょう)状の縁をもち、日本に10種が分布する。ウスバカミキリベーツヒラタカミキリコバネカミキリなどが属する。

[中根猛彦]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノコギリカミキリ」の意味・わかりやすい解説

ノコギリカミキリ
Prionus insularis

甲虫目カミキリムシ科。針葉樹につくカミキリムシで,幼虫はその材や枯れ木に穿孔する。成虫は体長 23~48mm。体は扁平で幅広く,黒褐色で油を塗ったような光沢がある。複眼部は広い。触角は雄では長く鋸歯状縁が顕著,雌では短く普通の型を示す。前胸背の両側は平たくなり,前角,中央,後角がとげ状に横に突出する。肢部は幅広くなり,上翅には小点刻を散布する。成虫は5~9月に,平地ないし山地に発生し,灯火に来ることもある。幼虫はスギ,ヒノキ,マツ類,ときにクヌギやクリにつく。日本各地のほかアジア東部に分布する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ノコギリカミキリ」の解説

ノコギリカミキリ
学名:Prionus insularis

種名 / ノコギリカミキリ
目名科名 / コウチュウ目|カミキリムシ科
解説 / 夜行性です。
体の大きさ / 20~38mm
分布 / 北海道~九州
成虫出現期 / 5~9月
幼虫の食べ物 / ブナ類、ニレ類、マツ類など

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世界大百科事典(旧版)内のノコギリカミキリの言及

【カミキリムシ】より

…また輸入材の増大に伴って外国産の種がしばしば発見されるようになった。 成虫の活動はノコギリカミキリ類,ホソカミキリ類,クロカミキリ類,マルクビカミキリ類(いずれも原始的な亜科)では薄暮や夜間に見られ,色彩も黒や褐色で目だたないものが多い。これらの種類は夜間,樹液や灯火に飛来する。…

※「ノコギリカミキリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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