改訂新版 世界大百科事典 「ノコギリヒラタムシ」の意味・わかりやすい解説
ノコギリヒラタムシ
Oryzaephilus surinamensis
甲虫目ホソヒラタムシ科の昆虫。世界各地に分布する。成虫は茶褐色で体長約3mm。胸の側面にはその名のようにのこぎり状の歯があり,英名もsaw-toothed grain beetle。別名ノコギリコクヌストと呼ばれるが,穀物だけでなくビスケット,キャンディ,干しブドウ,干し肉など多くの食品の中から成虫,幼虫が見いだされる。穀物では主としてコクゾウムシやメイガ類などによって食害された中に見いだされる。こうじやイースト,他の昆虫なども食べる雑食性である。幼虫の体はやや平たく白色。発達した胸脚で活発に歩行する。棍棒状の触角を有すること,尾突起を欠くことで特徴づけられる。幼虫の期間は短く,年に2~3世代,もしくはそれ以上を繰り返す。本種に似たオオメノコギリヒラタムシO.mercatorはその名のように複眼が大きく,複眼の後方のあごの部分が複眼より小さいことで区別できる。ノコギリヒラタムシとともに輸入穀物の中から発見される。ホソヒラタムシ科Silvanidaeの多くは枯木やカビ類に見られ,日本で約20種が知られる。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報