ハイチ・プレバル政権(読み)はいちぷればるせいけん

知恵蔵 「ハイチ・プレバル政権」の解説

ハイチ・プレバル政権

カリブ海の島国ハイチで2006年2月に大統領選が行われ希望党のルネ・プレバル元大統領が圧勝、5月に就任し、亡命中のアリスティド元大統領の帰国受け入れを表明した。ハイチは1804年にフランスから独立した世界初の黒人国で中南米初の独立国だが、現在は中南米の最貧国で政情不穏が続きクーデター騒ぎが絶えない。カトリック左派「解放の神学」の神父だったアリスティドは1990年に同国初の民主的な選挙で圧勝し、貧困層重視の政策を実施したが、翌年のクーデターで政権を追われた。このとき軍政が市民を大量に虐殺したため米国に逃れるボートピープルが続出し、米国の力でアリスティドは2001年に大統領として返り咲いた。しかし、旧軍政派の武装勢力が首都に進攻し04年2月、アフリカへの亡命を迫られた。その後は暫定政権となり、多国籍軍さらに国連ハイチ安定化派遣団が治安維持のため展開した。国内は今なお同氏の支持派と反対派に割れている。

(伊藤千尋 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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