改訂新版 世界大百科事典 「ハインシウス」の意味・わかりやすい解説
ハインシウス
Daniel Heinsius
生没年:1580か81-1655
オランダの西洋古典学者。ヘント(現,ベルギー領)に生まれ,ライデン大学で法律を学んだがギリシア・ローマの古典に深甚な興味を抱き,のちに母校の古典科教授として研究・教育の両面で大きな功績を残した。アリストテレスの《詩学》を校訂し,それに翻訳と注釈を添えて発行する一方,みずからも《悲劇論》を著し,フランスの劇作家ラシーヌやコルネイユにも影響を与えた。ほかにテレンティウス,ホラティウス,セネカらの作品も校訂したが,最大の学問的業績はオウィディウスの諸作品の校訂である。息子のニクラスNiklaasは外交官をつとめるかたわら各国で直接写本に接し,父同様古典の研究に情熱を傾けた。とくに,テキストの校訂には秀れた才能を発揮し,ウェルギリウスをはじめローマの詩人の作品を数多く刊行した。親子とも研究のほか,ラテン語詩の創作も行った。
執筆者:三浦 尤三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報