日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハダカネズミ」の意味・わかりやすい解説
ハダカネズミ
はだかねずみ / 裸鼠
naked mole-rat
[学] Heterocephalus glaber
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目デバネズミ科の動物。エチオピア、ソマリア、ケニアの海抜400~1500メートルに広がる乾燥したステップやサバナに生息し、植物を食べる。頭胴長8~9センチメートル、尾長3~4センチメートル、体重40~60グラム。前後足ともに5指。体毛はなく、口唇の周辺や前後足、尾などにまばらに毛が生えているだけである。上下の門歯は口外に突出する。目は小さく、耳は痕跡(こんせき)的。20~30頭でコロニーをつくり、直径3センチメートルぐらいのトンネルを地下15~40センチメートルの深さに掘り、全長は300メートルにも達する。哺乳類のなかでもっとも体温調節の劣る種で、体温は32℃しかない。乳頭は7対あって、1産に2グラムぐらいの子を3~11頭産み、5年ほど生きる。
[土屋公幸]