門歯(読み)モンシ

精選版 日本国語大辞典 「門歯」の意味・読み・例文・類語

もん‐し【門歯】

  1. 〘 名詞 〙 哺乳類の歯の一種。歯列の中央にあり、歯冠はのみ状をしている。多く歯根は単一。人では切歯(せっし)と呼ばれ、上下四本ずつの計八本ある。
    1. [初出の実例]「諸属物を噛むに適切せる尖りたる鑿状の門歯」(出典:動物小学(1881)〈松本駒次郎訳〉上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「門歯」の意味・わかりやすい解説

門歯
もんし

哺乳(ほにゅう)類にみられる4種類の歯のうちの一つで、切歯(せっし)ともいう。上下のあごのそれぞれの歯列の中央にあり、円錐(えんすい)形または、のみ形をした歯で、多くは単一の歯根をもつ。多くの草食獣で門歯は変形しており、なかには消失してしまったものもある。ウシヒツジシカなどの反芻(はんすう)動物では、上顎(じょうがく)の門歯が退化し、消失している。ゾウの牙(きば)は、上顎の門歯が著しく伸長したものである。ネズミなどの齧歯(げっし)類では、堅いものをかじるために、上下の門歯がよく発達し、一生の間伸長を続ける。ヒトの場合は、中切歯(第1切歯)と側切歯(第2切歯)から構成される。

[高橋純夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の門歯の言及

【歯】より

… 第4は,同じく爬虫類までの特色である同形歯性が変わったことである。古生代の哺乳類様爬虫類にきざしていたことであるが,各歯ごとに形状が分化し,前方から切歯(門歯)incisor,犬歯canine,小臼歯(しようきゆうし)(前臼歯)premolar,大臼歯molarという4種の群(これを歯種という)が区別される。このことを〈異形歯性〉と呼ぶ。…

※「門歯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android