ハム語系諸族(読み)ハムごけいしょぞく(その他表記)Hamites

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハム語系諸族」の意味・わかりやすい解説

ハム語系諸族
ハムごけいしょぞく
Hamites

かつて,ハム語 Hamiticとして分類されていた言語を話す人々の総称。ハム語,ハム人 Hamiteという語はアフリカ研究史上多くの論議を呼んできた。 1950年代までは,ハム語はアフリカに住む白人系牧畜民「ハム人種」の話す言語とされていた。すなわち,白人的要素をもつ形質,牧畜という文化要素,性称をもつ言語などの複合体としての「ハム」という概念が固定化されており,それはアフリカ史をすぐれた白人種による文化の導入という,人種差別的史観で説明しようとする考え方とも結びついていた。また,言語上の大分類項目としてハム=セム語 Hamito-Semiticという範疇があり,白人言語としてのハム語にセム語が含まれていた。形質的・文化的特性を除外し,アフリカ諸語を言語特性のみで比較,分類したアメリカの言語学者 J.グリンバーグは,ハム語をいくつかに分類した。さらにアメリカの人類学者 G.P.マードックは,グリンバーグの見解をほぼ全面的に受入れながらも,名称面で若干の変更を行なった。それによれば,ハム語系諸族とは,ベルベル語,チャド語,クシ語,古代エジプト語,セム語の各言語を話す人々の意であり,そこには形質的,文化的異同は考慮されていない。 (→ハム諸語 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android