ハメットの通則(その他表記)Hammett's rule

法則の辞典 「ハメットの通則」の解説

ハメットの通則【Hammett's rule】

反応速度とエネルギーの関係を有機化合物とその反応性とに関連づけて得られた経験則.1935年にハメット(L. P. Hammett)が提案したものである.芳香族化合物でのm-,p-置換体において,置換基と反応速度の間に,logk/k0)=ρσ という簡単な式が成立する.ここで k0k は,置換基をもたない化合物と置換された化合物それぞれの速度定数,ρ はその反応に特有な定数で,ハメットの反応定数,あるいは ρ 値,σ は置換基に特有な値で,置換基定数,または σ 値と呼ばれる.

なお,まったく同じ関係が平衡定数 K についても成り立つ.つまりlog(K/K0)=ρσ である.最初は安息香酸の誘導体の解離反応について,ρ=1として求められたが,無置換の場合 σ=0,電子供与性の置換基では σ<0,電子吸引性の置換基では σ>0となる.後にさらに拡張されて,脂肪族化合物にも応用され,また置換基の極性効果については共鳴効果,立体効果などの解析も行われ,もともと対象とされていなかったo-置換体にも利用できるようになった.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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