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脂肪族化合物 しぼうぞくかごうぶつ aliphatic compound

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脂肪族化合物
しぼうぞくかごうぶつ
aliphatic compound

鎖状の炭素化合物の総称。鎖式化合物または非環式化合物ともいう。メタン系炭化水素 (アルカン) ,エチレン系炭化水素 (アルケン) ,アセチレン系炭化水素 (アルキン) ,および炭化水素分子の水素原子水酸基ハロゲン原子,アミノ基カルボキシル基などで置換された誘導体に分けられる。

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デジタル大辞泉の解説

しぼうぞく‐かごうぶつ〔シバウゾククワガフブツ〕【脂肪族化合物】

鎖式(さしき)化合物の異称。これに属する脂肪や脂肪酸が初めによく知られていたことによる名称。脂肪族。→芳香族化合物

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百科事典マイペディアの解説

脂肪族化合物【しぼうぞくかごうぶつ】

分子内の炭素原子の結合が鎖状で,環状構造を含まない有機化合物の総称。名は脂肪に含まれる脂肪酸に由来。→鎖式化合物
→関連項目炭化水素

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栄養・生化学辞典の解説

脂肪族化合物

 有機化合物の中で,炭素原子が鎖状につらなった分子.環状構造をとると脂肪族には入れないが,分枝しているものでも脂肪族に含める.

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世界大百科事典 第2版の解説

しぼうぞくかごうぶつ【脂肪族化合物 aliphatic compound】

炭素原子が鎖状に連なった骨格構造を特徴とする有機化合物。脂肪族aliphaticという名称は,油脂もしくは油を意味するギリシア語aleipharに由来する。しかし脂肪族化合物は実際にはこれよりはるかに広い範囲の化合物を含む。骨格が環をつくる脂環式化合物とともに,有機化合物のもう一つの大きなグループである芳香族化合物と対をなす。脂肪族化合物の炭素の鎖には,枝分れのない直鎖式のものと枝分れのあるものとがある。

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大辞林 第三版の解説

しぼうぞくかごうぶつ【脂肪族化合物】

鎖式さしき化合物

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(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脂肪族化合物
しぼうぞくかごうぶつ
aliphatic compound

鎖式有機化合物の別名。直鎖あるいは枝分れを含む鎖式の炭素骨格をもつ有機化合物をいう。いいかえれば、分子内に環式構造を含まず鎖式の構造のみから構成されている有機化合物である。脂肪の主成分であるパルミチン酸ステアリン酸などが鎖式炭素化合物であり、このほかにも脂肪からは多くの種類の炭素鎖式のカルボン酸エステルアルコールが得られているので、この名がつけられた。脂肪や油脂だけでなく、自然界には多くの脂肪族化合物がある合成高分子にもポリエチレンポリプロピレンナイロンなど、脂肪族に分類される化合物が多い(図A)。[廣田 穰]

脂肪族炭化水素――脂肪族化合物の骨格

脂肪族化合物の基本骨格をなしているのが脂肪族炭化水素である。脂肪族炭化水素のうちで、骨格がC-C単結合だけでできていて、この骨格に可能な最大数の水素原子が結合しているのが飽和脂肪族炭化水素であり、分子内にC=C二重結合やC≡C三重結合をもっているのが不飽和脂肪族炭化水素である。
 飽和脂肪族炭化水素はCnH2n+2の一般式で表される一連の炭化水素で、IUPAC命名法ではアルカンと名づけられている。アルカンは、一般式のn=1に相当するメタン(CH4)から始まる一連の炭化水素であるので、メタン列炭化水素ともよばれている。アルカンは通常の化学試薬に対する反応性が低いので、「親和性に乏しい」を意味するラテン語parum affinisに由来する「パラフィンparaffin」の名でもよばれる。
 不飽和脂肪族炭化水素のうち、分子内に二重結合を一つもつものをアルケンという。アルケンはCnH2nの一般式で表される炭化水素で、この系列の最初はn=2のエチレン(C2H4)であるのでエチレン列炭化水素ともよばれ、オレフィンの別名をもつ。分子内に三重結合を一つもつものをアルキンという。アルキンはCnH2n-2の一般式で表される炭化水素で、この系列の最初はn=2のアセチレン(C2H2)であるのでアセチレン列炭化水素ともよばれる。
 これらの脂肪族炭化水素から水素原子一つを取り除いたのがアルキル基などの脂肪族炭化水素基である(表1)。
 脂肪族炭化水素の水素をヒドロキシ基(OH)、アルデヒド基(CHO)、カルボキシ基(COOH)、アミノ基(NH2)などの官能基により置換した化合物はすべて脂肪族化合物である。たとえば、脂肪族炭化水素をカルボキシ基で置換した化合物は脂肪族カルボン酸(脂肪酸)であり、ヒドロキシ基で置換した化合物は脂肪族アルコールである。一つの脂肪族炭化水素骨格に二つ以上の官能基をもつ脂肪族化合物もいろいろある。脂肪族の骨格に芳香環が結合した構造の有機化合物も多数存在するが、これらは多くの場合、脂肪族ではなく芳香族化合物に分類される。[廣田 穰]

脂肪族化合物の構造と反応

飽和脂肪族炭化水素(アルカン)では、すべての炭素原子がsp3混成軌道により4本のσ(シグマ)結合をつくって他の炭素原子または水素原子と結合をしている。このときにできる結合はすべて共有結合であるので、結合の伸びる向きが決まっていて、sp3混成の炭素原子の結合角はすべて109.5°に近く、4本の結合は炭素原子を中心にもつ正四面体の各頂点の方向に伸びているという特徴がある。他の4原子と結合している炭素を4配位炭素とよぶ。わかりやすくいうと、飽和炭素原子Cは「4本の手」をもっていて、他の炭素原子C、水素原子Hなど4原子と手をつないで分子をつくりあげているということである。
 脂肪族炭化水素は、炭素原子が一列になって直鎖状に連なっているCH3(CH2)nCH3だけではない。鎖式飽和炭化水素の炭素原子数が4以上になると、炭素鎖の枝分れが可能になり、炭素鎖の構造の違いによる構造異性体が存在するようになる。構造異性体のうち、炭素骨格に枝分れがなく直線状のものをノルマル(n-)系といい、枝分れして側鎖のあるものをイゾ系という。炭素数が増えてもn-アルカンは1種類しかないが、枝分れ異性体のイソアルカンの数は非常に多くなる(詳しくは「アルカン」の項を参照されたい)。
 飽和の炭素原子がつくるC-HとC-Cのσ結合は安定で反応性に乏しく、酸・塩基などの試薬の攻撃を受けにくい。パラフィンの別名はこのことをよく表している。
 しかし、光反応は別で、たとえば、メタンCH4と塩素Cl2の混合物に光を当てると非常に急激に反応して、炭素原子上の1~4個のHがClに置き換わったCH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4ができる。この反応では、Cl2が分解して生成するCl(原子状塩素、塩素ラジカル)が反応の活性種になっている。飽和炭化水素はイオン反応を受けにくいが、ラジカル反応は受けやすい。低分子量の脂肪族化合物は燃えやすい特徴をもっているが、燃焼は空気中の酸素によるラジカル的連鎖反応である。
 ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基などの置換基をもつ脂肪族化合物では、飽和の四面体炭素上にあるこれらの置換基が他の原子または原子団により置換される反応がおこる。この種の反応は脂肪族求核置換反応として知られていて、その反応機構に基づいて1分子的求核置換反応(SN1反応)と2分子的求核置換反応(SN2反応)に分けられる。これらの求核的置換反応は脂肪族に特有な反応であり、求電子的芳香族置換反応と対比されることが多い(図B)。
 不飽和脂肪族化合物であるアルケンとアルキンの構造や反応は、C=CとC≡Cの不飽和結合の部分と飽和炭化水素鎖の部分とを分けて考えるのが分かりやすい。飽和炭化水素鎖の部分は、アルカンと同様に普通のイオン反応の活性は低く、酸・塩基の反応を受けにくい。π(パイ)電子系をもつ二重結合と三重結合の炭素は飽和炭素とは異なる特有の反応性を示し、イオン的な付加反応や酸化還元反応を受けやすい(詳しくは「アルケン」「アルキン」の項を参照されたい)。
 アルケンのC=C二重結合を構成する炭素原子はsp2混成で、結合角は120°で平面構造をとっている。また、アルキンのC≡C結合を構成する炭素原子はsp混成で、結合角は180°で直線構造をとっている(表2)。二重結合や三重結合の2本目・3本目の結合はσ結合ではなくπ結合とよばれている弱い結合で反応性に富んでいる。[廣田 穰]

天然にある脂肪族化合物

石油原油は、産地により違いがあるが、鎖式および脂環式の飽和炭化水素を多量成分とした混合物である。原油から石油製品をつくるには、常圧蒸留によって沸点ごとに成分を分ける。脂肪族炭化水素の沸点は炭素鎖が長くなるにしたがって高くなるので、沸点で分けることは炭素鎖の長さにより分けることになる。沸点ごとに分けた成分をさらに精製・改質処理をすることにより、天然ガス、ガソリン(ナフサ)、灯油、軽油、重油、潤滑油、アスファルトなどの製品が得られる。
 天然ガスはガス田から産するが、石油原油の蒸留によっても得られる。沸点が低く気体として分離され、炭素数1~4の飽和脂肪族炭化水素が主成分である。炭素数5以上の成分は液体で、自動車用ガソリンなどに使われるナフサは沸点が30~200℃程度の成分で、炭素数5~12ぐらいの脂肪族および脂環式炭化水素を多く含んでいる。原油の成分は産地により異なり、芳香族炭化水素がかなり含まれる場合もある。次の表3に原油の常圧蒸留による工業製品と沸点を示す。
 動植物界にも脂肪族化合物は多く分布していて、生物体で重要な役割を果たしている。食品の成分として重要な油脂は、炭素鎖に枝分れのない直鎖の脂肪酸とグリセロール(グリセリンともいう)とのエステルである。グリセロールは三つのヒドロキシ基をもつ3価アルコールであるので、3分子の脂肪酸とエステルをつくることができる。このエステルをグリセリドとよぶ。天然の脂肪では1分子のグリセロールに3分子の異なる種類の脂肪酸が結合している混合グリセリドが多いが、やし油からとれるトリパルミチンはグリセロールが3分子のパルミチン酸とエステルをつくっている単純グリセリドである。油脂として栄養成分となる脂肪酸は直鎖状で炭素数が偶数である。これは、生体内での油脂の合成および分解経路と密接に関係がある。
 リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸は動物体内では合成できず、植物を栄養源として摂取する必要があるので必須(ひっす)脂肪酸とよばれている。特殊な微生物以外はtrans(トランス)不飽和脂肪酸を合成する酵素をもたないので、天然の不飽和脂肪酸の二重結合はほとんどすべてcis(シス)配置である。油脂の成分として知られているおもな脂肪酸をまとめて表4に掲げる。[廣田 穰]

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