改訂新版 世界大百科事典 「ハロアルカン」の意味・わかりやすい解説
ハロアルカン
haloalkane
ハロゲン化アルキルalkyl halideともいう。アルカン(脂肪族鎖式飽和炭化水素)の水素原子1個をハロゲン(フッ素F,塩素Cl,臭素Br,ヨウ素I)で置換した化合物の総称。一般式CnH2n+1Xで表される。CH3CH2Clなどがその例で,命名法は,アルカンのハロゲン置換体としてクロロエタンchloroethane,またはアルキル基のハロゲン化物として塩化エチルethyl chlorideのように命名する。アルケン(脂肪族鎖式不飽和炭化水素)にハロゲン化水素を直接作用させるか,アルコールにハロゲン化水素を脱水剤の存在下で作用させて製する。フッ化物,塩化物,臭化物,ヨウ化物の順で反応性は高まる。各種の有機化合物分子にアルキル基を導入するのに用いられる一方,水酸化アルカリ,アルコキシド,アンモニア,シアン化カリウムなどと直接反応し,アルコール,エーテル,アミン,ニトリルなどをそれぞれ生ずる。また適当な条件下で,マグネシウム,リチウムなどの金属とも直接反応して有機金属化合物が生ずるが,これらは有機合成化学上重要な試薬である。
執筆者:中井 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報