バウレ族(読み)バウレぞく(英語表記)Baule

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バウレ族」の意味・わかりやすい解説

バウレ族
バウレぞく
Baule

コートジボアール中部のコモエ川とバンダマ川にはさまれた地域に住むアカン諸族の一民族。ニジェール=コンゴ語派のクワ諸語に属するトゥイ語を話す。バウレ族の先祖は,1750年頃現在地に移住し,先住民を同化したアシャンティ族の分族であった。バウレ族は 19世紀末までコートジボアールを支配したが,1790年以降主要氏族間の抗争により,政治的統一は崩壊した。自律的な村落は,拡大複合家族から成る。漁労狩猟も行うが本来農耕民で,換金作物としてコーヒーやカカオを栽培する。主食はヤムいもで,最初にとれたものを収穫祭で祖先に捧げるなど重要視される。社会的・政治的組織は母系リニージに基づき,そのおのおのは祖先の魂を形象化した儀礼用腰掛を所有する。しかし父系制も認められ,ある種の精神的・個人的資質が父系によって受継がれると信じられている。首長と長老会議がリニージを代表して村落の行政を握っている。バウレ族はすぐれた木彫制作で知られ,特に精霊や霊魂を表わした彫刻像や仮面は祖先崇拝と関係が深い。

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