アシャンティ族(読み)アシャンティぞく(英語表記)Ashanti; Asante

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アシャンティ族」の意味・わかりやすい解説

アシャンティ族
アシャンティぞく
Ashanti; Asante

ガーナ南部と隣接するトーゴ,コートジボアールに居住するアカン諸族の一民族。言語はニジェール=コンゴ語派のクワ諸語に属する。初めは森林地帯に住む小民族であったが,18世紀,火打石銃の導入を利して強力なアシャンティ王国を形成した。やがて近隣のアカン諸族を従えてアシャンティ連合を結成し,奴隷,金,銃などの交易に基づくその繁栄は,1901年イギリスに征服されるまで続いた。集村または町をなして住む。かつては多少の狩猟も行なったが,おもに農業に依存し,バナナ,キャッサバ,ヤムイモを栽培し,ココアを輸出している。織物,金細工,彫刻など手工業も古くから発達していた。最盛期には,職業の分化,身分階層化が進み,首都クマシに居住し,有名な「黄金の椅子」を継承する王を頂点として,複雑な社会組織をつくりだした。社会組織の基礎は母系出自に基づくが,儀礼などには父系の要素もみられる。住民は比較的頻繁に移動したが,個人は一定領土を所有する母系リニージの成員権を得ることによって,王国における市民権を得た。

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