改訂新版 世界大百科事典 「バショーモン」の意味・わかりやすい解説
バショーモン
Louis Petit de Bachaumont
生没年:1690-1771
フランスの年代記作者。会計検査官の子としてパリに生まれ,独身のまま裕福で教養ある社交人の生涯を送った。1730年ころから40年もの間,年上のドゥブレ夫人と深い友情で結ばれ,反宗教的色彩の強い彼女のサロンの中心人物となる。サロンで取材した話題やゴシップを編纂した年代記は当時から評判を呼んだが,彼の死後も書き継がれ,《1762年から現在までの文芸共和国史のための秘録》全36巻にまとまり,ルイ15世治下のパリおよびベルサイユの政治,文化,風俗の諸相を活写した第一級の資料といわれている。宗教に懐疑的なバショーモンは啓蒙哲学者たちの思想に共鳴したが,もともと文人肌の人で芸術をこよなく愛し,《絵画,彫刻,建築に関する試論》(1751)を著した。また,パリの都市計画に深い関心を寄せたことでも知られている。
執筆者:鷲見 洋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報