日本大百科全書(ニッポニカ) 「バベジ」の意味・わかりやすい解説
バベジ
ばべじ
Charles Babbage
(1792―1871)
イギリスの数学者、機械学者。現代の電子計算機研究の始祖といわれる。ケンブリッジ大学に学び、母校の数学教授となった。
初め、二階差分が定数である関数の8桁(けた)の差分表をつくる小さい階差エンジン(差分法を利用した自動計算機)をつくり、1823年に政府の援助を得て七階差分までを扱える20桁の階差エンジンの設計にとりかかった。この設計はうまくいったが、当時の技術水準では完成できなかった。彼の考えに基づいた機械は1855年にオランダの企業によってつくられた。さらに1834年に、今日の電子計算機の原型ともいうべき解析機械の原理を発見。長年にわたってこの機械の完成に努力したが、歯車やクランクなどの機械的装置だけの当時の技術では実現できなかった。しかし、その概念は今日の電子計算機に引き継がれた。1944年、ハーバード大学のエイケンHoward Hathaway Aiken(1900―1973)によるリレー式計算機MARK(マーク)-Ⅰは、バベジの夢を実現したものといえよう。
[西村敏男]