日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルトーロ」の意味・わかりやすい解説
バルトーロ
ばるとーろ
Bartolo de Sassoferrato
(1314―1357)
イタリアの法学者。ラテン語でバルトールスBartolusともいう。ボローニャ、ピサ、ペルージア各大学の教授を歴任した。後期注釈学派(助言学派)の最大の代表者で、裁判所の鑑定活動を通じて法律実務に携わり、ローマ法源の意味を当時の社会的、経済的諸条件に適合するように学問的に改変し、スコラ哲学の演繹(えんえき)法を用いて法を体系化した。イタリアの普通法ius communeの形成は彼の功績による。彼の学問は、人文主義の洗礼を受けたヨーロッパ各地に広まり、反対派から「バルトールスの徒にあらざれば法学者にあらず」Nemo jurista nisi Bartolistaといわれるほどの権威をもち、ローマ法が継受されたのちのドイツ普通法gemeines Rechtの形成に大きな影響を及ぼした。また、都市相互間の私法上の問題を論じたことから国際私法の祖ともいわれている。彼の態度は、皇帝の権威を擁護し、教皇には批判的であった。
[佐藤篤士]