バルト楯状地(読み)バルトたてじょうち(その他表記)Baltic shield

最新 地学事典 「バルト楯状地」の解説

バルトたてじょうち
バルト楯状地

Baltic shield

ノルウェー南部からスウェーデンフィンランドロシア一部を含む先カンブリア界からなる安定地域。北端コラ半島には最古の35億~30億年前の岩石(Katarchean)が知られ,Saamian・Belomorian・Svekofennian・Karelian・Gothianなど,異なる時代の造山帯が識別される。西側はスカンジナビア山脈カレドニア造山帯によって衝上されるが,東~南では下部古生界に覆われる。オスロ地溝帯にペルム紀のアルカリ深成岩があるほか,全域は第四紀の氷河性堆積物に覆われ,氷河地形が著しい。バルト楯状地大部分(ボスニア湾北部を中心とする3×106km2の地域)は大規模な隆起を続けていることでよく知られている。BC6800年以来,中心部では隆起量約260m,現在の隆起速度5~9mm/年。この隆起運動は,最終氷期にこの地域を2~3kmの厚さに覆っていた氷床の融失によるアイソスタシーの回復として説明されている。この場合,地球の粘性係数は3×1020Pa・s。参考文献B.Gutenberg(1941) Bull. Geol. Soc. Am.,Vol.52

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改訂新版 世界大百科事典 「バルト楯状地」の意味・わかりやすい解説

バルト楯状地 (バルトたてじょうち)
Baltic shield

北ヨーロッパのスウェーデン,フィンランド,ロシア北西端(カレリア,コラ半島),およびノルウェー,デンマークの一部を含む先カンブリア時代の変成岩,花コウ岩が広く分布している安定地域(クラトン)をいう。バルト楯状地の西側には,ノルウェーからイギリス北部に続く古生代前期のカレドニア造山帯がある。南東側は広大なロシア平坦地Russian platformとなり,先カンブリア時代の基盤岩の上を古生代以降の堆積岩層がひろくおおっている。ウラル山脈以西,カスピ海と黒海の北岸,カルパチ山脈北縁からポーランド中部を通ってバルト海に達するロシア平坦地とバルト楯状地の両者を含む広大な安定地域は,古くは原ヨーロッパUr-Europaとよばれたヨーロッパ大陸の古い核で,この周囲に古生代以降の造山帯が付加され,現在のヨーロッパが形成されたといわれる。北ヨーロッパは第四紀の氷河で削られたため,岩石の新鮮な露頭が多く,フィンランドとスウェーデンには美しい赤色のラパキビ花コウ岩やミグマタイトが広く露出し,花コウ岩・片麻岩研究の発祥の地となった。
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百科事典マイペディア 「バルト楯状地」の意味・わかりやすい解説

バルト楯状地【バルトたてじょうち】

スウェーデン,フィンランドを中心にノルウェー南部やロシアの一部を含む楯状地。古生代以降の堆積岩層に広くおおわれているが,先カンブリア時代の岩石のヨーロッパ最大の分布地として多くの研究があり,北端のコラ半島には約35億〜30億年前の岩石が知られている。

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