日本大百科全書(ニッポニカ) 「パッペンハイム」の意味・わかりやすい解説
パッペンハイム
ぱっぺんはいむ
Fritz Pappenheim
(1902―1964)
アメリカの社会学者、哲学者。ドイツに生まれる。ケルン、キール、フライブルクの各大学で経済学、社会学、哲学を学び、1929年に博士号を取得、労働者教育やラジオ放送の講演活動に従事した。1933年、ナチスの政権獲得とともにスペインに亡命、スペイン内乱後、南フランスに逃れたが捕らえられ、強制収容所に送られてドイツの市民権を剥奪(はくだつ)された。1941年、アメリカに渡り、オハイオ州でセツルメントの仕事に従事、第二次世界大戦後アラバマ州のタラディーガ大学で教鞭(きょうべん)をとった。マルクスやテンニエスの社会構造論を取り入れて、人間の疎外の根源を近代の資本主義社会の構造に求めた『近代人の疎外』(1968)が、日本ではよく読まれた。
[似田貝香門 2015年10月20日]
『粟田賢三訳『近代人の疎外』(岩波同時代ライブラリー)』