大学事典 「パティソン」の解説
パティソン
Mark
イギリスの学者,オックスフォード大学リンカン・カレッジ学寮長。ヨークシャーの福音主義派の聖職者であった彼の父親は,息子をオックスフォードのカレッジのフェローにしたいという希望をもち,そのための準備教育を家庭で行った。1832年にオックスフォード大学オリエル・カレッジに入学。1836年学位取得。いくつかのカレッジでフェローシップ試験に挑戦したのち,1839年にリンカン・カレッジ(イギリス)のフェローとなる。この頃,オックスフォード運動に参加し,J.H.ニューマンから大きな影響を受けた。1843年からは同カレッジでチューターをつとめ,学生指導や学位試験委員として大学内で名声を得るが,51年の学寮長選挙に敗れ,新学寮長との軋轢からチューターを辞任し,大学やカレッジの運営・改革への熱意を失った。大学改革に関して,初期には学寮制を擁護したが,のちにドイツ式の教授を中心とする研究大学への移行を支持した。1861年にリンカン・カレッジ学寮長。主著に『大学組織に対する提案』(1868年),『カソーボン伝』(1875年),『ミルトン伝』(1879年)がある。
著者: 中村勝美
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報