パドル法(読み)パドルほう

百科事典マイペディア 「パドル法」の意味・わかりやすい解説

パドル法【パドルほう】

反射炉中で銑鉄を加熱して錬鉄を得る方法。1784年英国のH.コートとP.オニオンズが発明コークス燃料とするが,鉄を溶融する高温は得られず,半溶融状態のものをパドルと呼ぶ鉄棒でこねまわして,炭素の一部や不純物除去の反応を進行させる。製銑に次いで可鍛鉄製造でも木炭から石炭への燃料転換を実現し,製鉄技術の一画期となったが,転炉平炉による製鋼法出現ですたれた。
→関連項目コート

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のパドル法の言及

【産業革命】より

…またこのことによって,製鉄業と石炭鉱業が不可分に結びつけられ,産業革命の中核をなしていくことになる。84年には,H.コートによるかくはん式精錬法(パドル法)が発明され,銑鉄のみならず良質の錬鉄をもコークスによってつくれるようになった。主要な製鉄業地帯は,バーミンガムを中心とするミッドランド,南ウェールズ,スコットランド南部などであったが,銑鉄1tの生産に石炭10tを要しただけに,製鉄所の多くは炭田に近接して設立されたのである。…

【鉄】より

…溶けた銑鉄は火炎中その他の酸素で脱炭され,融点が高くなり,溶融状態を維持できなくなるが,鉄棒でパドル(かくはん)して脱炭を促進させ,銑鉄は錬鉄に変わる。それでこの方法はパドル法と呼ばれた。パドル法は蒸気機関によって駆動される圧延法と結合し,牧歌的な水車ハンマーを過去のものとした。…

※「パドル法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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