ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラタクシス」の意味・わかりやすい解説 パラタクシスparataxis 訳語は「併置」であるが,現代哲学におけるトランスモダンの思考様式の一種とみなされる。対立物の差異,非同一性,他者性は,すべて自己同一的な一つの全体へと還元するというヘーゲルの肯定弁証法を批判の対象とする思考様式で,同一化にひそむ権力的支配を指摘し,差異,非同一性,他者性を還元不可能なものとみなし,これを救済すべきであるとする。暴力と支配による人間関係の克服を「純粋言語」のなかに見出だしたベンヤミン,権力的同一性から逃れ非同一性を重視するアドルノの概念のなかには,こうした思考様式が明確に見て取れる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by