パーリ文学(読み)パーリぶんがく(その他表記)Pāli literature

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パーリ文学」の意味・わかりやすい解説

パーリ文学
パーリぶんがく
Pāli literature

パーリ語で書かれた仏教文学。スリランカを中心に,ミャンマー,タイ,カンボジアに伝わる南方仏教徒の残したパーリ語仏典は,経蔵,律蔵,論蔵の三蔵 (ティピタカ) から成り,これらの経典ならびにその注釈などを含む文献は,仏教の教理,教説,戒律を説くものであるが,そのなかには文学的価値の高いものも含まれている。『ダンマパダ』 (『法句経』) は仏教徒の実践道徳を簡潔な詩句で説き,『テーラ・ガーター』 Theragāthā (長老偈) と『テーリー・ガーター』 Therīgāthā (長老尼偈) は,仏教教団の長老比丘,比丘尼がおりにふれて感興を叙し,解脱の心境を吐露した抒情詩集である。また『ジャータカ』 (本生話) は仏陀の前生の物語 547話を集めた説話集である。ほかに西北インドを支配したギリシア王メナンドロスと尊者ナーガセーナとの仏教教理に関する問答を流麗な辞句で綴った『ミリンダ王の問い』 (漢訳『那先比丘経』) ,セイロン島の仏教史を語る叙事詩ディーパバンサ』 (『島史』) と『マハーバンサ』 Mahāvaṁsa (『大史』) などもある。

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