改訂新版 世界大百科事典 「ヒスイ輝石」の意味・わかりやすい解説
ヒスイ(翡翠)輝石 (ひすいきせき)
jadeite
アルカリ輝石の一種。純粋なものの化学組成はNaAlSi2O6。一般にCa,Mg,Fe2⁺,Fe3⁺を少量含む。無色,白色,緑色,緑青色,まれに青色ないし紫色。単斜晶系。長柱状結晶。モース硬度6,比重3.24~3.43。低温高圧型のランセン石片岩相の変成作用をうけた岩石中や,蛇紋岩中に脈状または塊状に産する。ヒスイ輝石が石英とともに共存するには高い生成圧力が必要とされ,圧力と温度の関係図上で約5kbar,100℃と約27kbar,1000℃を結ぶ線の高圧(低温)側で安定であり,それより低圧(高温)側では斜長石の端成分であるアルバイトになってしまう。アルバイトがネフェリンと反応してヒスイ輝石を作ることもあり,その場合の反応は低圧(高温)側で起こる。
執筆者:永原 裕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報