日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒラタカゲロウ」の意味・わかりやすい解説
ヒラタカゲロウ
ひらたかげろう / 扁蜉蝣
昆虫綱カゲロウ目ヒラタカゲロウ科Heptageniidaeの昆虫の総称。いずれも体長10ミリ前後のカゲロウで、幼虫が水生のため、成虫は渓流や河川沿い、湖岸などにみられる。前翅(ぜんし)は比較的細めであるが、多数の脈があり、横脈も多い。幼虫の体形は急流に適応するようにきわめて平たく、川中の石下面を滑るようにして生活する。頭部は横幅の広い楕円(だえん)形を呈し、複眼は背面につく。あごも平たく葉状となり、また脚(あし)も平たく前方に向き、各脚外側には細毛列がある。扁平(へんぺい)楕円状の鰓葉(さいよう)列が腹部側方にみられる。尾は2、3本で細い。日本からは五(または6)属十数種が知られている。代表種は幼虫が山地から平地にかけての渓流にみられるエルモンヒラタカゲロウEpeorus latifolium、中・下流域にすむシロタニガワカゲロウEcdyonurus yoshidae、山地渓流のミヤマタニガワカゲロウCinygma hirasanaなどで、初夏に羽化する。
[山崎柄根]