ポルフィリン症(読み)ぽるふぃりんしょう(英語表記)porphyria

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポルフィリン症」の意味・わかりやすい解説

ポルフィリン症
ぽるふぃりんしょう
porphyria

ポルフィリンまたはその前駆物質が多量に産生される疾患で、おもに先天性代謝異常による。ポルフィリン体の産生される部位によって肝性と骨髄性に大別されるが、いずれもまれな疾患で、肝性の急性間欠性ポルフィリン症と遅発性皮膚ポルフィリン症のほかはきわめてまれである。

[高橋善弥太]

急性間欠性ポルフィリン症

常染色体顕性遺伝疾患で、家族性に発現することがきわめて多く、おもに20~30歳代に発症する。腹部仙痛嘔吐(おうと)、便秘をはじめ、四肢の疼痛(とうつう)や麻痺(まひ)、錯乱やヒステリー様症状などを主とした急性発作がみられるが、他のポルフィリン症とは異なり皮膚の光線過敏症状は示さない。間欠発作の誘因としては、バルビツール酸系の薬剤などをはじめ、月経、手術、アルコールなどがあげられる。尿中および糞便(ふんべん)中にアミノレプリン酸とポルホビリノーゲンが著増することで診断される。一般に、種々の対症療法が行われる。

[高橋善弥太]

遅発性皮膚型ポルフィリン症

肝臓におけるヘムの代謝異常が原因とみられるが本態は不明で、中年期以降に発症する。症状の発現は徐々であり、遺伝性に現れるのはまれで、多くは後天性にみられる。アルコール摂取との関係が重要視され、いわゆる腹部・神経・精神症状はなく、皮膚の光線過敏を特徴としている。尿中および糞便中にウロポルフィリンコプロポルフィリンが著増することで診断される。

[高橋善弥太]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポルフィリン症」の意味・わかりやすい解説

ポルフィリン症
ポルフィリンしょう
porphyria

血色素の構成物質であるヘムの前駆物質のポルフィリンやその前駆物質が過剰に生産され排出される,主として遺伝性の代謝異常。病理学的には2つの型があり,1つは骨髄中でヘモグロビンがつくられるときに起るもの,もう1つは肝臓の障害による。臨床的には急性ポルフィリン症皮膚ポルフィリン症に分けられる。急性ポルフィリン症は若い女性に多発し,腹痛,神経症状を伴い,尿は赤色となる。皮膚ポルフィリン症は皮膚の光線過敏症が主症状で,直射日光を避ける必要がある。

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