日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒロバカゲロウ」の意味・わかりやすい解説
ヒロバカゲロウ
ひろばかげろう / 広翅蜻蛉
[学] Eosmylus harmandi
昆虫綱脈翅(みゃくし)目ヒロバカゲロウ科に属する昆虫。褐色系の中形の脈翅類の一つで、山地の渓辺の林間にすむ。体長10ミリ内外、前翅長20ミリ内外。頭部は黄色で、頭頂に大きい黒点があり、顔面も黒い。触角、胸部、脚(あし)などは黄色。はねはやや幅広くて透明であるが、若干の暗褐紋をもち、翅脈は暗色と白のぶち状、また縁紋は黄白色である。成虫は7、8月に出現し、灯火にもくる。日本各地と樺太(からふと)(サハリン)、千島列島に分布する。
ヒロバカゲロウ類は、日本に11種が知られているが、幼虫が水中または水辺の石下や蘚苔(せんたい)類中にすむ半水生の一群で、成虫も渓流付近にすむ。幼虫は肉食性である。
[山崎柄根]