日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒンドスタン平野」の意味・わかりやすい解説
ヒンドスタン平野
ひんどすたんへいや
Hindustan
インド北部、ヒマラヤ山脈とインド半島に挟まれる地域に、インダス川とガンジス川が形成した沖積平野。正式には、インダス・ガンジス平野Indo-Gangatic Plainとよばれ、一般にはインド平原、北インド大平野として知られている。面積は約65万平方キロメートル。その3分の1は乾燥地にあり、西部のインダス川流域にはシンド地方の砂漠が広がる。ガンジス川流域の平野の間にはタール砂漠や低い丘陵があり、分水界にあたるデリー付近の標高は200メートルにすぎない。ガンジス川流域はヒマラヤ山脈の前縁の沈降帯を埋める2000メートルを超える厚い堆積(たいせき)物よりなり、面積約36万平方キロメートルに及ぶ。肥沃(ひよく)な平野の西半分は年降水量が600ミリメートルで、麦が主要作物であり、東半分は1000ミリメートル以上で、下流のガンジス・デルタを中心に米が主要作物となる。これらの平野は紀元前2000年より文明をもち、インドでは人口がもっとも集中している地域である。
[中田 高]