改訂新版 世界大百科事典 「ビラジュリア美術館」の意味・わかりやすい解説
ビラ・ジュリア美術館 (ビラジュリアびじゅつかん)
Museo Nazionale di Villa Giulia
ローマのボルゲーゼ公園北端にあり,エトルリアの考古,美術を主とする国立美術館。ビラ・ジュリアは1553年教皇ユリウス3世が建設した別荘であったが,1889年国立美術館となり現在にいたっている。収蔵品は現在7万5000点余にのぼる。おもな収蔵品のうち,1階にあるウルカ作《ベイオのアポロン》の塑像は,ギリシア・アルカイク様式をもちながらも独特の強い生命力の躍動を示し,衣紋と頭髪の表現には東洋風の線彫がみられる。また,寄りそって半ば横たわる夫婦を表した塑像の寝棺は,世界でも類例のない墓像形式であり,エトルリア人の来世観を示すものと思われる。2階には壺,宝石,金銀細工,青銅製品が集められているが,とくに祭礼用の青銅蓋付壺は胴体に流麗な線彫による人物像,脚部は猛獣の足,把手は写実的な人物彫像を施した独創的な構想を示している。前7~前6世紀に最盛期を迎えたエトルリアの豊麗な文化がしのばれる。
執筆者:友部 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報