日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピサ宗教会議」の意味・わかりやすい解説
ピサ宗教会議
ぴさしゅうきょうかいぎ
Council of Pisa
西欧キリスト教世界を二分した、1378年以来のローマ・カトリック教会の大分裂(大シスマ)を終わらせるために、1409年にイタリアのピサに招集された会議。ローマには教皇グレゴリウス12世、アビニョンには教皇ベネディクトゥス13世がそれぞれ正統性を主張して対立していた。教会の統一を願う両派の枢機卿(すうききょう)たちの招集によって、高位聖職者、修道院長、修道会長、神学博士、諸大学の代表者、西欧諸侯の使節たちなど数千人が集まり、両派の主張を聴いて審議し、その結果、両教皇を罷免し、ミラノ大司教ペトルス・フィラリギスを選んで教皇アレクサンデル5世とした。しかし解決に至らず事態は悪化し、三教皇対立となった。なお、教会改革についても討議されたが、この会議は、教皇の招集によらないので、ローマ・カトリック教会では公会議として承認されていない。しかしその努力は、コンスタンツ公会議(1415~18)において実を結び、分裂は解消して教会一致が回復された。
[小笠原政敏]