改訂新版 世界大百科事典 「ピンポンノキ」の意味・わかりやすい解説
ピンポンノキ
Sterculia nobilis Smith
中国南部原産のアオギリ科の常緑小~中高木で,種子が食べられるため,台湾,東南アジアの一部にも植えられている。葉は単葉で互生し,葉身は長さ8~25cmの楕円形で,全縁,葉柄2~3cm。花は白色~帯紅色の小花で,多数の雄花と少数の両性花が葉腋(ようえき)に生ずる円錐花序につく。花弁はなく,萼は鐘形で5裂し,おしべは約20本。果実は長さ4~10cmの卵形,木質の袋果で,紅褐色に熟し,中に径約2cmの球形~楕円形の種子を2~4個含む。種子はいるか煮て食べる。栗に似た風味をもつが甘みはない。ココアに含まれるテオブロミンtheobromineに似たアルカロイドを含有する。ピンポンノキの和名は,漢名〈蘋蔢〉の中国音〈ピンポー〉に由来。
ピンポンノキ属Sterculiaは200~300種の樹木からなり,世界の熱帯を中心に分布する。そのうちなん種類かには種子が食べられるもの,幹から有用なゴムが得られるもの,樹皮の繊維から縄や粗布をつくるものなどがある。高木となるものは木材も利用されるが,とくに重要なものはない。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報