ファレンティン(その他表記)Karl Valentin

改訂新版 世界大百科事典 「ファレンティン」の意味・わかりやすい解説

ファレンティン
Karl Valentin
生没年:1882-1948

ドイツの寄席芸人,作家。本名ファイValentin Ludwig Fey。ミュンヘン生れ。はじめ家業の建具職を継いだが,1908年ころからミュンヘンの寄席(キャバレー)界で喜劇役者として頭角を現す。芝居,モノローグ独白),ディアローグ(対話,問答),クップレなど,いずれも自作自演のうえ,舞台装置や楽器も自分で作った。バイエルン方言の使用と通常の思考,通常の語法を無視した言葉遊びに特徴がある。しかしそれは単に笑いを生むだけではなく,ごく日常的な題材から常識のベールを剝ぐことによって人間存在の不安定さを垣間見させるもので,不条理演劇にも通じている。主舞台は生涯ミュンヘンにあった。女優カールシュタットLiesl Karlstadt(1892-1960)とのコンビで知られるとともに,近年自分の舞台を撮影した映画の仕事のほうにも再評価の機運がある。主要作品に《堅信礼を受けた少年》(1922),《借金依頼人》(1925),《花火大会》(1926)などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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