モノローグ(読み)ものろーぐ(英語表記)monologue

翻訳|monologue

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モノローグ」の意味・わかりやすい解説

モノローグ
ものろーぐ
monologue

演劇用語。「独白(どくはく)」と訳される。自らの行動の動機決意、心理を表現する独台詞(ひとりせりふ)であるが、舞台上のたった一人の人物が一人でしゃべる台詞という点で、他の登場人物がいる所でしゃべる独台詞「傍白(ぼうはく)」(約束事でそのことばは観客だけに聞こえ、他の登場人物には聞こえない)と区別される。古典劇では一般的で、『ハムレット』中の「生きるべきか、死ぬべきか」はとくに有名。近代劇以後では従来の性質よりも、劇のそれまでの場面を要約、批評しながら次の場面へと観客をいざなう進行係の性質が強い。しかし一方で、心理的モノローグが拡大して独立した演劇形式、モノドラマ(一人芝居)を生む。ダイアローグdialogue(対話)の対(つい)の用語。

[高師昭南]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モノローグ」の意味・わかりやすい解説

モノローグ
monologue

俳優が舞台で1人でしゃべる,かなりの長さをもったせりふ。その人物の思考感情,あるいは事態の推移などを観客に伝える舞台技法。モノローグは,普通他の人物にそのせりふが聞こえないものとして語られるが,広い意味では,ひとり言的なせりふだけでなく,観客へ直接物語を語りかけるナレーション,あるいは俳優1人で演じるひとり芝居モノドラマのせりふなどもモノローグに含まれる。またモノローグの特殊な形であるソリロキー soliloquyは,聞き手をもたず,思考や感情がおのずから声となって表明された,自分自身への語りかけとして用いられる。『ハムレット』のソリロキーが有名。

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