改訂新版 世界大百科事典 「フィアット会社」の意味・わかりやすい解説
フィアット[会社]
Fiat S.p.A.
イタリア最大,世界でも有数の自動車会社フィアット自動車会社Fiat Auto S.p.A.の持株会社。自動車のほか,建設機械,農業機械,産業機械の機械類の生産からエネルギー開発,運輸,出版にまで事業を多角化している。アニェリ一族の同族会社の色彩が強い。本社トリノ。
1899年,アニエリGiovanni Agnelli(1866-1945)によりSocietà Anonima Fabbrica Italiana Automobili Torinoとして設立され,1906年現在名に改称。乗用車,商用車を中心に,鉄鋼,軽合金などへ業務を拡大した。第2次大戦後はとくに60年代後半から,自動車メーカーおよび自動車関連メーカーの吸収合併により事業を拡大した。68年にアウトビアンキ社Autobianchi S.p.A.,69年にランチア社Lancia S.p.A.,フェラーリ社Ferrari S.p.A.,86年アルファ・ロメオ社を買収し,イタリアの自動車生産における独占的地位を固めた。海外進出は,原則として資本進出をせずにライセンス供与の形で行ってきた。第2次大戦後はアルゼンチン(1954),ベネズエラ,チリ(ともに1962),ブラジル(1973)などへ資本進出した。また1966年にはソ連と自動車生産プラント建設についての大型契約を結んだ。その後,乗用車部門と商用車部門の統合を図り,79年にはフィアット社本体を持株会社とし,子会社を管理するようにした。2004年の乗用車販売台数は177万台。海外売上比率は67%。売上高467億ユーロ(2004年12月期)。
執筆者:鈴木 明彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報