軽合金(読み)けいごうきん(英語表記)light metal

精選版 日本国語大辞典 「軽合金」の意味・読み・例文・類語

けい‐ごうきん ‥ガフキン【軽合金】

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デジタル大辞泉 「軽合金」の意味・読み・例文・類語

けい‐ごうきん〔‐ガフキン〕【軽合金】

軽金属主体とした軽い合金アルミニウム合金・マグネシウム合金チタン合金ベリリウム合金など。

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改訂新版 世界大百科事典 「軽合金」の意味・わかりやすい解説

軽合金 (けいごうきん)
light metal

アルミニウム,マグネシウムチタンなど軽金属を主体とする合金の総称。鋼(比重約7.9)に比べて軽いものをいう。アルミニウム合金の発展は1906年にA.ウィルムがジュラルミンを発明したのに始まる。この合金は高温に加熱後,水中に急冷し,その後室温かそれよりやや高い温度においておくと強くなる。これは析出硬化といわれる硬化機構による。その後この原理を応用した種々の合金が開発され,特殊鋼の強さに相当するものも実用化され,第1次大戦から第2次大戦にいたる航空機の発展を支えた。アルミニウム合金は一般に強度を高めると耐食性や加工性が悪くなるので,一方では耐食性に重点をおいた合金が開発され,溶接技術の発達とあいまって用途が拡大し,現在では建築用材も含め,鋼に次いで使用量の多い材料である。鋳物としても展伸材としても使用される。マグネシウム合金はアルミニウム合金よりもさらに軽いが,一般的にいって強度,耐食性,加工性でアルミニウム合金には及ばない。ダイカストなどの鋳物として,また押出材としての利用が多い。また板として製版用に,電気防食材料として鋼構造物の防食にも用いられる。チタン合金は融点が高く,耐熱性に優れ,耐食性はきわめてよく,高強度のものが得られる。高価であるが,航空機機体,ジェットエンジン,化学工業プラントなど特殊な環境下におかれる構造材として特有の用途のある重要な材料である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軽合金」の意味・わかりやすい解説

軽合金
けいごうきん
light alloys

アルミニウム,マグネシウム,ベリリウムなどの軽量金属の合金。チタン (比重 4.51) の合金を含める場合もあるが,ここでは含めない (→チタン合金 ) 。またベリリウム合金は酸化物の毒性のために実用にいたっていないので,主要なものは前二者の合金である。アルミニウム合金の開発は早く,1903年ドイツの A.ウィルムによる Al-Cu合金で,10年には改良されてジュラルミンの原形 Al-Cu-Mg合金となり,その特殊な時効硬化性が人々を驚かせた。マグネシウム合金も,ドイツの G.エレクトロンにより鋳造材として開発されたが,耐食性が悪いため,発展したのは第2次世界大戦後であった。しかし,軽量という点ではアルミニウム合金より有利である。軽量化をさらに実現するために Al-Li (リチウム) ,Mg-Li系合金の研究と発展が期待されている。

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化学辞典 第2版 「軽合金」の解説

軽合金
ケイゴウキン
light alloy

広く実用化されている金属材料のうち,軽金属を使った軽い合金,すなわち密度の小さい合金をいう.一般に,マグネシウム合金(密度1.7~2.0 g cm-3),アルミニウム合金(2.7~3.0 g cm-3)をいうが,チタン合金(約4.5 g cm-3)も軽合金ということが多い.密度の小さなリチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,ベリリウムなども軽金属であるが,現在,工業的な意味で実用金属材料としての合金はない.

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百科事典マイペディア 「軽合金」の意味・わかりやすい解説

軽合金【けいごうきん】

アルミニウム,マグネシウム,チタンなど軽金属を主体とする合金の総称。軽量であることが最大の特徴。ジュラルミンシルミンなど種類が多く,鋳物,圧延材として航空機・建築・船舶・機械部品などに用途が広い。最近では,耐熱性,耐食性がよく高強度のチタン合金の用途が増加している。
→関連項目アルミニウム

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「軽合金」の意味・わかりやすい解説

軽合金
けいごうきん
light alloys

軽金属に各種合金元素を加えてつくられる合金。特徴は比強度(単位断面積当りの強さと密度との比)が高いことで、軽量で強いことを要求される場合に利用される。もっとも代表的な軽合金は析出硬化型アルミニウム合金(代表例ジュラルミン)であり、飛行機や自動車の材料として多量に用いられている。またマグネシウム合金も、強さはアルミニウム合金より劣るが、比重はアルミニウムの約3分の2であるので多量に使用されている。またチタン合金も、その優れた耐熱性のために航空宇宙機器材料として使用されている。

[及川 洪]

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