改訂新版 世界大百科事典 「フォルムロマヌム」の意味・わかりやすい解説
フォルム・ロマヌム
Forum Romanum
古代ローマの都にあった公共広場(フォルム)。イタリア語ではフォロ・ロマーノForo Romano。前7世紀カピトリヌス,パラティヌス,クイリナリス,エスクイリヌスの四つの丘に囲まれた低地を整備して広場の形にしたもの。王政時代は商業活動の中心地であったが,共和政時代に入るとサトゥルヌス神殿やカストルとポルクスの神殿が建設されることによって,またロストルムrostrum(雄弁家のための演壇)に十二表法が表示されることにより,宗教的・政治的活動の中心となる。前2世紀,その周辺にバシリカ・アエミリアなどの市場が造られたことにより,この広場は政治・行政上の機能のみを有することになる。そして,前1世紀後半になると,コミティウム,クリア(元老院),バシリカ・ユリアなどが広場を囲み,帝政時代には,広場が担っていた実際的機能はその北側に造られた皇帝広場に移されてローマ帝国の象徴的広場となった。
執筆者:青柳 正規
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報