日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォルム」の意味・わかりやすい解説
フォルム
ふぉるむ
forum ラテン語
原義は公共広場、市場の意で、古代ローマ都市の中心部を形どった公的空間。古代ギリシアのアゴラに相当する。フォルムには、神殿、バシリカ、クーリア(元老院)、コロネード(列柱廊)、商取引の施設が建ち並び、政治社会、宗教儀式、商業活動など市民生活のもっとも重要な場所であった。ギリシアのアゴラは地形を利用して自然発生的に形成されたが、ローマでは共和政末期から都市化が進むにつれて、フォルムは長方形の空間に整備され、神殿を中心に都市の主要建築が並び、これをコロネードで囲んでいた例が多い。このような形式のフォルムは、帝政時代の北アフリカのローマ都市に多くみられる。ローマの四つの丘に囲まれたフォロ・ロマーノ(古代名フォルム・ロマヌム)は、ローマ時代最古の遺構として知られる。
[前田正明]