日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォーゲルザンク」の意味・わかりやすい解説
フォーゲルザンク
ふぉーげるざんく
Karl Freiherr von Vogelsang
(1818―1890)
ドイツの貴族、カトリック的社会改革家。プロイセンの官吏であったが、1848年メクレンブルクの自領に引退し、のち、マインツ司教で社会思想家として知られるケッテラーWilhelm Emanuel von Ketteler(1811―1877)によってカトリックに改宗。1864年ウィーンに移り、1875年連邦主義・貴族主義の新聞『祖国』Vaterlandの主筆となった。1879年には『キリスト教社会改革月報』を創刊し、資本主義体制を激しく批判、またルエーガーやシンドラー神父とともに社会改革運動を推進したので、彼は「キリスト教社会主義者」と称せられた。その主張は、自由主義・個人主義による社会の混乱を収拾するため、国家の介入を擁護し、また企業家と労働者との連帯を説くものであった。
[中井晶夫]