ふくさ(読み)フクサ

デジタル大辞泉 「ふくさ」の意味・読み・例文・類語

ふくさ

[形動ナリ]
やわらかなさま。
近江美濃尾張などにて、物の柔らかなることを―といふ」〈玉勝間・一三〉
人柄の柔和なさま。
「―な人」〈吉原失墜〉
福々しくゆったりしているさま。
「いやしからず―なり」〈浮・胸算用・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「ふくさ」の意味・読み・例文・類語

ふくさ

〘形動〙
① やわらかであるさま。柔軟なさま。
※海人藻芥(1420)「上代は皆なへ装束とて、ふくさにて強くは不調也」
② 人柄の柔和なさま。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ (「福」の字を当てることもある) 柔和で、ゆったりとして福々しいさま。
※俳諧・鴉鷺俳諧(1646)「鯨の口に塩やあまれる ふくさなる汁の大根味あしし〈立圃〉」
④ 多いさま。
随筆・幽遠随筆(1774)上「俗に物の多きを、ふっさりともいひ、又ふくさなりなどいふ」

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世界大百科事典(旧版)内のふくさの言及

【袱紗料理】より

…七五三などの式正(しきしよう)の料理の形式主義に対する批判と反省に基づいて,煩瑣(はんさ)な儀礼と過剰な装飾を排し,実質的な味覚を楽しむためのものとして成立した。伊勢貞丈の《貞丈雑記》が〈本式にあらざる物にはふくさと云事を付ていふなり〉といっているように,略式のものを呼ぶのに〈ふくさ〉を冠したことによる呼称である。やがて酒と料理を楽しもうという時代の要請にこたえた会席料理へと発展して,現在の日本料理の中核を形づくるようになった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」