岐阜県中南部の商工業都市。美濃和紙の産地として有名。1954年(昭和29)美濃町と洲原(すはら)、下牧(しもまき)、上牧、大矢田、藍見(あいみ)、中有知(なかうち)の6村が合併して市制施行。市街地は、長良川(ながらがわ)とその支流板取川(いたどりがわ)の合流点よりやや下手の東岸の台地を中心に発達。ここは戦国大名金森長近(かなもりながちか)が1600年(慶長5)ころに標高約150メートルの小倉山に館(やかた)を築き、その麓(ふもと)の台地に近在の商業中心町を開いたのが始まりで、美濃紙の集散地として続いてきた。かつては長良川の水運の拠点でもあり、川岸の灯台がその名残(なごり)をとどめる。現在は長良川鉄道が通じる。長く名古屋鉄道美濃町線の終点(美濃駅)であったが、1999年(平成11)美濃町線の新関―美濃間は廃止(2005年全線廃止)となった。国道156号、東海北陸自動車道が通じ、美濃インターチェンジがある。美濃紙の製造は板取川沿いの牧谷(まきだに)を中心に行われ、集落により特色のあるものが漉(す)かれた。いまでは従業者、生産量ともに減少したが、蕨生(わらび)地区中心に保存されてきた優秀な手漉き和紙技術は、国指定の重要無形文化財、美濃和紙は国指定の伝統工芸品となっている。和紙などの製造にかわり、しだいに刃物製造の下請、縫製加工などが行われる。製造品出荷額ははん用機械、プラスチック製品、生産用機械、パルプ・紙、金属製品の順である(2020)。市の南西部に1990年から県営工業団地美濃テクノパークを開発、企業誘致が進んだ。美濃市の中心市街には、「うだつ」のある家が残されていて、小坂家住宅は国の重要文化財、また町並み一帯は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。また、本美濃紙は2014年(平成26)に「和紙―日本の手漉和紙技術」として、島根県浜田市の「石州半紙(せきしゅうばんし)」(石見半紙)、埼玉県小川町、東秩父(ひがしちちぶ)村の「細川紙(ほそかわし)」とともに、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。大矢田神社のひんここ祭りは有名。面積117.01平方キロメートル、人口1万9247(2020)。
[上島正徳]
『『美濃市史 通史編』(1979・美濃市)』
岐阜県中南部,長良川中流部にある市。1954年美濃町と洲原,下牧,上牧,中有知(なかうち),藍見,大矢田の6村が合体,市制。人口2万2629(2010)。中心市街の旧美濃町は古くは上有知(こうずち)と呼ばれ,近世初期に佐藤氏,金森氏が居城した城下町であった。長良川水運の河港としても栄え,近世以降美濃紙の集散でにぎわった。市街地には古い町屋が多く,屋根の妻を一段と高くした防火構造の〈うだつ造〉や土蔵造が見られ,小坂家住宅は重要文化財に指定されている。長良川の支流板取川流域は牧谷と呼ばれ,美濃紙の生産地として古くから知られた。今も各種の和紙が生産されるが,和紙需要の減退により,機械すき紙が主流となっている。本美濃紙製造技術は重要無形文化財。美濃和紙の里会館がある。南部の大矢田は牧谷と武芸(むげ)谷(関市の旧武芸川町)の中間にあり,室町時代には紙を中心とする六斎市が開かれ,紙座を結成した近江商人が紙の購買を独占した。大矢田神社には特殊神事〈ひんここ〉が伝わり,神社の社叢は楓谷(かえでだに)のヤマモミジ樹林として天然記念物に指定されている。北部に天然記念物の洲原神社ブッポウソウ繁殖地もある。長良川鉄道線,名鉄美濃町線(2005年廃止),東海北陸自動車道,国道156号線が通じる。
執筆者:高橋 百之
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【将棋遊び】
将棋の駒を使った他の遊び方として,駒を積み上げて崩さないように取り除いていく積(つみ)将棋,中央3筋に9枚の駒を置いて相手側に早く達するのを競う蛙跳び,下段に駒を並べて相手の駒をはさんで取りあうはさみ将棋,金将をさいころ代りに振って盤上の周囲を回りながら上っていくすごろくの応用の歩回り(回り将棋)などがある。【増川 宏一】
〔戦法と用語〕
【王の囲いに関する用語】
美濃振り飛車に多用される囲い。片美濃,高美濃などの変型もある(図9)。…
※「美濃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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