日本大百科全書(ニッポニカ) 「フチーク」の意味・わかりやすい解説
フチーク
ふちーく
Julius Fučík
(1903―1943)
チェコスロバキアのジャーナリスト、共産党活動家。プラハの大学で文学を専攻したのち、1921年に共産党に入党、1929年には党機関紙『ルデー・プラーボ』の編集員として本格的な政治宣伝活動を開始。ナチス占領中は地下の共産党中央委員となり、抵抗運動中、1942年捕らえられ、翌年ドイツで処刑された。検閲のため多くの筆名を用いて健筆を振るったが、世界的に有名なのは、刑務所内で書かれ、ひそかに持ち出された『絞首台からのレポート』(1945刊)である。この感動的な作品は、70以上の外国語に翻訳されている。そのほか、訪ソ記録『明日がすでに昨日を意味する国で』(1932)などのルポルタージュや評論がある。
[飯島 周]
『栗栖継訳『絞首台からのレポート』(岩波文庫)』