化学辞典 第2版 「フッ化ヨウ素」の解説
フッ化ヨウ素
フッカヨウソ
iodine fluoride
【Ⅰ】五フッ化ヨウ素(iodine pentafluoride):IF5(221.90).フッ化ヨウ素(Ⅴ)ともいう.固体のヨウ素と気体のフッ素との反応や,AgFと I2 との反応,HIと F2 との反応などにより得られる.気体分子は,5個のF原子が正方すい型に配置し,I原子は底面中心に位置する.I-F約1.87 Å(底面),1.84 Å(頂点).室温では無色の液体.融点9.43 ℃,沸点101 ℃.反応性が大きく,多くの金属・非金属とただちに反応してフッ化物をつくる.水とはげしく反応して,I2O5とHFになる.ガラスを侵す(とくに高温ではいちじるしい).多くの有機化合物とはげしく反応する.フッ素化剤に用いられる.[CAS 7783-66-6]【Ⅱ】七フッ化ヨウ素(iodine heptafluoride):IF7(259.89).フッ化ヨウ素(Ⅶ)ともいう.ヨウ素と大過剰のフッ素とを約250 ℃ で反応させるか,液状五フッ化ヨウ素IF5とフッ素との反応,250 ℃ でのKIと F2 との反応などで得られる.固体は無色の立方晶系結晶.昇華点4.77 ℃.常温では無色の気体.分子は五角両すい型七配位.I-F約1.78 Å(頂点),1.85 Å(五角形面内).反応性が大きくフッ素化作用をする.水に可溶,加水分解して過ヨウ素酸とHFになる.NaOHに吸収される.フッ素化剤に用いられる.皮膚を刺激する.有毒.[CAS 16921-96-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報