フュルチエール(読み)ふゅるちえーる(その他表記)Antoine Furetière

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フュルチエール」の意味・わかりやすい解説

フュルチエール
ふゅるちえーる
Antoine Furetière
(1619―1688)

フランス文学者パリ生まれ。風刺詩などで世に出、『町人物語』(1666)で裁判所およびパリ小市民の風俗をおもしろく描写した。1684年『普遍的辞典試論』Essai d'un dictionnaire universelを出版アカデミー・フランセーズの辞典に先だつものであったのでアカデミー攻撃を受け会員を除名された。死後オランダで彼の二巻の辞典が発行されたが、アカデミーの辞典以上の評価を受け、貴重な文献として名高い。

福井芳男

『増永清明訳『町人物語 上』(1949・創元社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フュルチエール」の意味・わかりやすい解説

フュルチエール
Furetière, Antoine

[生]1619.12.28. パリ
[没]1688.5.14. パリ
フランスの小説家,辞書編纂者。初め弁護士,次いで修道院の会計係,40代で司祭となる。その間,風刺小説『メルキュールの旅』 Le Voyage de Mercure (1659) ,『町人物語』 Le Roman bourgeois (66) などを書いた。 1662年アカデミー・フランセーズに入ったが,当時辞書編纂中であったアカデミーをしりめに独自の辞書作成の許可を王から得,それは死後の 90年にオランダで出版された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android