パリで発行されているフランスの保守系大衆紙(夕刊紙)。第二次世界大戦中の1941年ドイツ占領地区で発刊されたレジスタンス運動の機関紙『デファンス・ド・ラ・フランス』を継承して1944年創刊。1946年から大手マスコミ資本アシェットHachetteグループの系列下に入り経営的にも安定、名編集者ピエール・ラザレフPierre Lazareff(1907―1972)社長の下で、1956~1958年当時は発行部数140万を数え、黄金時代を迎えた。1972年ラザレフ社長の死後、部数も低落の一途をたどり経営不振が表面化、1976年地方紙チェーンの経営者で右派政治家のロベール・エルサンRobert Hersant(1920―1996)に買収された。その後も経営は安定せず、1999年エルサンの後継者が所有株を手放した後、10年間でオーナーが3人代わったが経営は好転しなかった。2009年1月ロシアの大富豪アレクサンドル・プガチョフAlexandre Pougatchevが買収、潤沢な資金を投入してようやく経営が安定した。発行部数は43万3000部(1985)から4万部(2006)まで落ち込んだが、2010年には7万7000部まで挽回した。
[伊藤力司]