ユリア(読み)ゆりあ(英語表記)Iulia (Julia)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユリア」の意味・わかりやすい解説

ユリア
ゆりあ
Iulia (Julia)
(前39―後14)

古代ローマの貴婦人オクタウィアヌス(後の皇帝アウグストゥス)と最初の妻スクリボニアとの娘。最初、従兄(いとこ)と結婚したが、夫の死後アグリッパと再婚。アグリッピナ(大)や、のちにアウグストゥスの養子となったガイウスGaius Caesar(前20―後4)、ルキウスLucius Caesar(前17―後2)の兄弟などの子供をもうけた。アグリッパの死後、ティベリウスと再婚したが、彼のロードス島引退に際してもローマにとどまり、多くの恋人をつくったといわれる。アウグストゥスにより不行跡を譴責(けんせき)され、ティベリウスと離婚させられ、パンダテリア島に配流された。のちにレギオンの町に移されたが、アウグストゥスの死後、監視が強化され、最後に残った息子アグリッパ・ポストゥムスAgrippa Postumus(前12―後14)の死後、窮死したと伝えられる。

島田 誠]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユリア」の意味・わかりやすい解説

ユリア
Julia

[生]前39
[没]後14. レギウム
ローマ皇帝アウグスツスとスクリボニアの娘。前 25年 M.マルケルスと結婚。その死後,前 21年には M.アグリッパに嫁し3男2女を産んだが,その死後,前 11年チベリウス (のちの皇帝) に嫁した。その美貌と享楽的な時代の風潮により,乱行を重ね,チベリウスを隠棲させるにいたった。前2年アウグスツスは彼女姦通の事実を知り,彼女は母スクリボニアのみに伴われてパンテグリアという小島に追放された。4年イタリア南端のレギウムに移されたが,流謫の地で死に,父の廟に入ることも拒まれた。

ユリア(小)
ユリア[しょう]
Julia, Minor

[生]前19頃
[没]後28. トリメルス島
古代ローマの政治家 M.アグリッパとユリアの長女。前4年頃 L.パウルスと結婚。パウルスが8年頃アウグスツス帝に対する反逆陰謀のかどで処刑されると,彼女も不品行の罪に問われて,アドリア海のトリメルス島に流され,そこで死んだ。

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世界大百科事典(旧版)内のユリアの言及

【カエサル】より

…一方,自らも一法案によって,コンスル職の後,5年間,ガリア・キサルピナ(アルプスのこちらのガリア)とガリア・トランサルピナ(アルプスのかなたのガリア)とイリュリクムを治めることが認められた。またカルプルニアを妻とし,娘ユリアをポンペイウスにめあわせている。
[ガリア戦争]
 前58年からガリアの地方長官として前50年まで在任して,ガリア戦争を遂行し,ガリア全土をほぼ平定した。…

【尿素】より

…化学式CO(NH2)2。ウレア,ユリア,カルバミドcarbamideともいう。炭酸H2CO3のジアミドに相当する無色柱状結晶。…

※「ユリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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