化学辞典 第2版 「フリース転位」の解説
フリース転位
フリーステンイ
Fries rearrangement
フェノールのカルボン酸エステルに等モル量のルイス酸(AlCl3,ZnCl2など)を加えて加熱すると,アシル基がオルトまたはパラ位に転位する反応.ドイツのK. Friesにより見いだされ,o-アシルフェノールまたはp-アシルフェノールの合成に用いられる.
可逆的な段階を経て進行するが,100 ℃ 以下の低温では立体障害の少ないパラ置換が主となり,高温ではキレーションによって安定化するオルト置換体が主生成物になる.分子内転位か分子間転位かについては確定的結論は得られていない.ニトロベンゼン,クロロベンゼン,二硫化炭素などを溶媒として使う場合がある.同様の反応は光によって誘起され,光フリース転位とよばれる.光フリース転位は,ラジカル(遊離基)を中間体とする分子内転位と考えられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報